This document written: 2014-05-13 .. 2014-05-31

『Android ゲームプログラミング A to Z』の第 1 部(3 〜 6 章)の構成

では、この本(BAG)の心臓部である、第 1 部に相当する、3 〜 6 章がどのような構造のものかを見てみる。

  1. ゲーム開発の基礎
  2. ゲーム開発者のための Android
  3. Android ゲーム開発フレームワーク
  4. Android を攻略せよ

3 章:概念側からのアプローチ

ゲームをプログラミングという作業によってどのように抽象化して捉えればよいのかということが述べられている。オブジェクト指向的なやり方で、ゲームという物事をオブジェクトのクラス化していく思考方法を学ぶことができる。もちろん、クラスといっても、ここでは抽象的なインターフェイスのことである。Java によって記述しているが、この章で論じられているインターフェイス自体はゲームプログラミング一般に通用するものである。

この章ではゲームが、いくつかのゲーム画面のオブジェクトによって構成されること、何種類かの操作入力用のオブジェクトが必要なこと、画像と音声のそれぞれの出力用のオブジェクトが必要なこと、データを管理するためのファイル I/O オブジェクトが必要なことが述べられ、すなわち、それらのオブジェクトを定義するインターフェイス(抽象クラス)として列挙している。

4 章:実装側からのアプローチ

3 章では Android / Java によらない、ゲーム一般の話として必要なインターフェイスについて一通り考察した。それらの各インターフェイスを Android / Java プラットフォームにおいて実装するにあたって、実際に部品として使う Android の API について取り上げて、解説がなされている。ここは Android / Java 環境固有の話となる。

5 章:概念的な設計図に従って実装クラスを配してフレームワークとして組み立てる

3 章で概念的な骨組、4 章で肉付けすべき部品が揃ったので、骨組に従って部品を構造物として組み立ててフレームワークとして造りあげる。つまり、3 章で定義したインターフェイスを具体的なクラスとして実装する形で Java プログラムとして実現する。

6 章:完成したフレームワークを使って実際にサンプルゲームを制作する

技術的にはフレームワークがエンジンのようなもので最も価値の高いところと言えるだろう。だがしかし当然、フレームワークはそれ自体としてはゲームではない。5 章で手にしてフレームワークを使って、実際に具体的な一つのサンプルゲームを作る作業が 6 章である。

以上のように、計 4 章からなる章立てが、良く考えられた必要十分な構成であることがわかる。

次回からは、さらに 3 〜 5 章の各章の内容の一つ一つの要素について、それらを叩き台として、できれば独自にサンプルなどを作ってみて、考察していきたいと思っている。


読解『A to Z』